オルミゴンとアンバルの出会いからの話
軽快し合うギス期(本編2年前くらい)を考えるの逆に楽しい。
出会った当時アンバルはハイドロビーツ形態から解かない程度に警戒してそうだなと思ったし、あんな刃物の羽根背負った攻撃的なヴィジュアルで押さえつけられて15年前のお前の罪を知っているとか言われたら完全にオルミゴンだって敵扱いする悪手。
というか初対面で古代怪人だと思うよね普通に。んでアンバルの目的が古代偃月だって言われても怪人の内ゲバに巻き込まれたとしか思えない、ただ15年前の罪って言葉が気になって押さえつけられたまま情報を聞き出そうとしたら、思った以上に人間側の細かい事情にまで精通していて(大穴の封印が綻びていることとか)それを見透かしたように自分は怪人を殺すこと以外に興味はないって言う。信用ならんわ。
正体も何も分からないし古代怪人だと思ってるだろうしここでオルミゴンも変身して応戦してもいいんだけど、あの人そこは慎重そうではあるんだよなぁ。正体隠して大穴守ってる訳なのに人間のオルミゴンにコンタクトとってるってことは正体バレもしてるし、協力したと見せかけて情報を探るくらいはしそうな気がする。思った以上にギスって始まる関係。
アンバルがオルミゴンの変身を知っているのは彼の中にある琥珀の記憶に由来してるけど、本人はそれを思い出せないほど摩耗してるから何故知っていると問われても答えられないんだけどね。自分はもう古代怪人に改造された時点で化け物だと思ってるし、怪人扱いされても気にしてない。
だからすぐさま一緒に暮らして~休息場所提供して~って感じの始まりではなさそうな気がする。綻びた封印から出た古代怪人をボコった後に情報をカツアゲしにコメドールに来てまたどこかに去ってみたいな通い鳥状態。あくまで協力者という名の脅している相手の一人スタート。
と、オルミゴンは思ってるけど実はこの辺りの時系列で既に物置状態で立ち入りも無いコメドールの屋根裏で数時間腰を落ち着けてたととはあったりなかったり。本来は誰もいない訪れない場所でしか休眠回復モードに入らないけど、徐々にその屋根裏部屋で数時間落ちてることも出てくる。まぁ不法侵入かつ勝手に使ってる状態だけど、埃まみれの物置で座って寝る改造人間、趣があるね。
これも多分琥珀時代の無意識の行動だと思うんだよな。命を助けられた記憶が意識外で残ってて、こいつは有事に許す助けるみたいな意識が深層にあるから休める。
ここまではオルミゴンからアンバルは怪人だと思っているし警戒して泳がせて正体を情報を引きずり出したい、アンバルからオルミゴンは数ある情報カツアゲ先の一つだけどもその中で無意識に信用はあるみたいな状態。
転機の一つとしてある日訪れたアンバルが案外苦戦したのかアーマー面割れ状態で、割れたヘッドから覗く箇所に人間の造詣があって驚かれるとかね、あるといいね。そこでお前人間か?って問いに応えずともめっちゃ嫌な顔して表情があることも余計に人らしく見えてしまう。
普通なら面割れ状態で人と会うなんてしないよな抜き身の刃の復讐鬼暴力さん状態だと~あれ~ドウシテカナーという白々しい感想はさておき。
パラドックス怪人の擬態と違うそれにめちゃくちゃ戸惑ってハイドロビーツ自体を調べて、古代怪人に改造された元人間って仮説に行きつくのはだいぶ早そう。当時の罪悪感でガチガチなオルミゴンにとって人間=護るものだからその時点でアンバルとの話し合いの席を設けたがるよな。怪人として人に害を及ぼすならは倒さねばならいが、元が人なら目的が分かればもっと協力できるかもしれないし事情を話して欲しいくらいにシフトチェンジ。アンバルにとって不快なことこの上がない。ちなみにここではまだ元人間と感付いてもどんな人物だったかは知らない。
もちろん復讐のこととかアンバルは喋らないだろうし、しつこく聞いたとしても自分をこんな体にした古代偃月を殺すって偽った目的を言うと思う。今のところはそれもそうだなで納得がいく。んで改めてそういうことならば利害一致で協力する、でもハイドロビーツが暴走して人類に危害を与える側になったらお前を倒す。みたいな綱渡りの共犯関係が成立するのはここあたりかもしれない。
でも元人間って知ってしまった以上オルミゴン側からの見方は徐々に変わってくるわけでして。本当に徐々にで警戒と探りは続けるんだけどね。今は泳がせているけどいつか倒すべき怪人からもしかしたら理解し合えるかもしれない人間に変わったわけ。
その後ゴンちゃんがそろそろ冬物出さなきゃなって季節に半年ぶりくらいに屋根裏の物置に入ったら、血糊の乾いた跡やここに誰か座ってました的な部分的に埃の無い箇所、長い黒髪なんかを見つけて……もしかしてあいつ…ここで寝てんの?!ってなって欲しい。んで物置だから乱雑に季節ものやガラクタが置かれて埃まみれの屋根裏部屋ぐるっと見回して改めて…ここで?ってなる。不法侵入だし不法占拠だしそもそも俺は許可してないしあいつはヤバい怪人かもだしって言い訳ぐるぐる口に出して散々頭抱えるけど、罪悪感が上回って冬物出すついでと自分に言い訳して屋根裏大掃除して使い古しのマットレスと毛布、あと救急箱置いちゃうとかな。脅されて不法侵入されてるのにお人好しである。
入ってすぐ綺麗に掃除されてるわベッドメイクされてるわでバレたの気づくし、なら潮時かって二度と屋根裏使わない選択肢もとれたはずなんだけどどうにもそういう気は起きないし休眠が必要な程度に損傷が蓄積されてるしで、まー最初は何も使わず部屋の隅で休んでそうだけど危険が無さそうだと分かったら徐々に置かれた物に寄ってって、救急箱の包帯で止血して毛布にくるまって座って寝るくらいはするようになりそう。ゴンちゃんが冬物出そうとしていた季節ってことは暖房なんてもちろん無いし壁の断熱なんて屋根裏部屋は薄そう、加えてアンバルは寒さに弱い。いくら今よりさらに抜き身状態で復讐以外はどうでもいいバーサーカーであっても、毛布はあったかいんじゃないかな。
片付いて埃も無くて、止血が済んでるから垂れ流しより回復も早くて、人体改造されてから久方ぶりに(……息が、しやすい)って思って眠ることが出来たらいい。休んでる暇なんて無い自己嫌悪も浮かぶ暇がないくらい損傷回復の寝落ちが早い。後々のオルミゴンのいるところ=あたたかいってこの渡り鳥が認識してるの、この辺の刷り込みが大きいかもしれない。
一方のオルミゴンは屋根裏に居つかれてることを察してから上階の気配そわそわ気にして結構寝不足だったり(一人暮らし歴が長すぎる)実際真夜中小さく人の気配を感じてマジでいる……となったりしてそう。そこで咎めないのもだし、片づけて毛布差し入れたりした時点で居座りに同意してるようなもんというか通い猫を匿ったというか…了承してると思うのでここから同居人関係ってのがスタートしてると思うよ。明確に今日からここを使わせてもらう、はいどうぞって会話はしてなさそう。なんとなく居つかれてるのに気づいてアクションを返すことで受け入れ、バレたことを理由に去らなかったから双方の同意とか。曖昧すぎるぞお前ら~~~!
んでその後、定期的に屋根裏も掃除するようになったオルミゴンが止血に使われたであろう包帯にべっとりついた血を見てハイドロビーツが万能ではないことを改めて知ったり、むしろ無茶な力の行使で身体にガタは来てて時折吐血もしてると分かってでも戦うなとか頼れとかも言える立場では無くて結構悩んだりして欲しい。傷口洗って手当位はしろってだんだん水回り使用させたり、街中でアンバル見かけて何かしでかすんじゃ…?って様子伺ったらめっちゃ不味そうな顔でカロリー〇イト的なもの噛み砕いてて拍子抜けしたり、あいつ食べ物食べるんだ…怪人の生き血とか飲んでそうなのに…って大概失礼な感想抱いたりね。
その時俺だったらもうちょい美味いもん食べさせられるのになぁってちょっと思ったり。だんだんこいつも普通の生きてる人間で、食べて寝て傷つければ怪我をすると思い直してくる。だんだんとね。
あまりにも不味そうに栄養補給してたもんだから、作り過ぎたを理由に(でもゴンちゃん一人の食事は独り身らしく適当に済ませて作らないじゃん)出来れば食ってくれって書置きと食事残して仕事行ったら、最初は手つかずだったのが5回目くらいで少し減ってて、それが次第にテーブルに一式用意しなくても鍋から自分で盛るようになって、だんだん書置きが無くても食べるようになって…って一緒に食卓囲んではいないけど同じ釜の飯を食うというか、野良猫の段々の餌付けというか……オルミゴンが食べさせたがりだからそういう食事のアレコレで距離感は随分縮みそうな気がするのよね。食事の縁。
アンバルもアンバルでテーブルの上のごはんに食う訳ねぇだろって最初はスルーするけどそれが何度も続くといい加減にしろってなってくるし流石にいたたまれなくて一回喰えば満足するのかあの馬鹿と口つけるのかな。
なんだかんだで出された食べ物を粗末にでこないとこは案外日本人価値観が残ってる気がする。現段階でごはんの美味い不味いは理解しようとしてないんだけど、まぁ脳が感情を理解するより先に栄養補助食品でカロリーだけ取るより舌は喜んでるよね。そのうち食事の減り具合研究してお前好みの味付けにどんどん変えられていくから覚悟しておくとよろし。ここで一口食べてしまった時点でオシマイなのだ。
それにしてもここから微々たるリアクションの変化や食材の減りであのアンバルの好みが薄味で出汁が効いていて食感の柔らかい卵料理とまで理解するオルミゴンの根気とか推理力とかそういう、その、気持ち悪〜〜〜(褒めてる?)書き出すとアンバルの好きな食べ物可愛くて腹立つな…茶碗蒸しだよ。
多分先日喋ってた合鍵についてもこの辺で起こった出来事じゃないかなと思ってる。警戒心はあれどもだいぶ許容してるし、そもそも同居を容認している時間軸。お互い一人が長すぎて同じ家に他人と暮らすことに慣れない距離感。許容の行動をおこしてから頭抱えるゴンちゃん、無警戒に渡される家の鍵に呆れるバルサン。
オルミゴンからアンバルに対しては改造された元人間らしいけど案外人らしい、だんだん餌付けが楽しくなってきた。アンバルからオルミゴンには利用されているのに許容する馬鹿、でも何故か多々気を許してしまうあたりのこの距離感で本編がはじまってる気がする。まだお互い本当はどういう関係かは知らない。
これだけ見ると健全に仲を深めて行ってる感がするけど、ここから本編進行で色々分かっていく中でオルミゴンが良くない依存をする時期があって、それはやっぱアンバルが件のグレン事件の生き残り2人のうち1人である事実が判明したあたりね。結論から言うとオルミゴンはグラナドとアンバルが平和に生きていることを己の救いにして献身しようとしてしまう、そこに依存と歪が生まれる感じ。
本編が始まった時点で2年くらい共犯者として一緒に動いてて、その過程で脅し脅されの関係からちょっとずつ信用が生まれてでも二人とも警戒心が強い故に認められてないっていうのが前述した状況。ここから裏で動いている大人が二人、って状況で暗躍させつつ本編がはじまる。
まぁ本編軸の紆余曲折は割愛しつつ、グレン事件について。ちょいちょいまとめてはいるけど先代グレンであるラネテが死亡した事件で、変身呪物であるオスピシャスアーマーを既に手放したラネテを合理的に見捨てようとしたルマリと、そのルマリに足止めされつつも子を産んだばかりの母親を見殺しにすることに耐え切れず一人救出に向かい重症、共に戦ってきた海底古代人ラールを消滅させてしまったオルミゴン、子を人質に取られて死地に向かうラネテに他のヒーローが必ず来てくれると言われたのに結局彼女の死を目の当たりにした琥珀(アンバル)あたりの誰も幸せにならない事件ね。
論理的合理的に言えばルマリが一番正しいんだけど(ラネテもグラナドを奪われて突発的に行動する前に他の者に相談出来ればよかったし、オルミゴンだって勝手に動かなければラールを失うことはなかった)ルマリが情を捨てたが故にその後オルミゴンと決別してトレーオという戦力を無くしたり、大災害の混乱でオスピシャスアーマーを生き延びた琥珀に盗まれたりして逆に大きな損害を出した、……マジで誰も幸せにならんなこの事件。
この辺は繰り返しになっちゃうから置いといて、色んなものを失って満身創痍で正義も分からなくなってたオルミゴン君18歳、この劇鬱グレン事件で助けられた命があるってことを結構心の支えと言うか救いにしてたわけなんだよ。でも先代グレンの死の際には間に合わなかった罪悪感もあって、赤ん坊を抱えて逃げて助けた少年のその後は意図的に知らないようにしてでも自分と関係の無いところで幸せに生き延びてると思って15年を生きてきてる。じゃないと無力感で心がもたなかったんだろうな。
アンチタマデアーブレイズが現れたことでグレン事件からのその後が紐解かれ、そんな一方的救いにしてた2名の生存者がグラナドとアンバルってことが本編中に判明して、アンバルの目的が改造された恨みではなく改造はもはや手段、殺された先代グレンの敵討ち、復讐なことも判明する。
ここからは良くない依存ですね。遠く知らないところで幸せに普通に生きてると思っていた人物が自分よりヘヴィな過程を経て目の前で身を削っている、今度こそ二人を守らないといけない、命に代えても。というか二人の為に死んで楽になりたいくらいは思っちゃいそう。
グラナドは親のことで精いっぱいだし、アンバルはそもそもそういう感情を向けられること自体が憤慨もの。都合のいい贖罪に自分を利用するなって気持ちだよ。そこ分かっているから自己満足だろうし、無茶に肉の壁になって倍以上にボコボコにされることは本編でもありそう。アンバルは本気で自分の為に誰かがそうなるのが嫌だから、贖罪とかそういう献身を向けられてこの二人の関係は一気に底辺まで落ちそうな気がする。徐々に徐々に心を開いてったのにね。台無しだよマスター。畳む
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